ちょっと変わった人好きですか?

こんにちは、梶原しげこです。

 

 

20年ほど前の話になります。
不登校の子供たちの居場所で
仕事をしていたことがあります。

 

 

多くの子供たちが寮生活を送っていました。
皆それぞれ個性豊かで、私としては対応に
戸惑うこと、驚かされることもありました。

 

 

ある時、子供たちが工作を
することになりました。
木切れや紙や布、絵の具やハサミ、
工具など、様々なものがありました。

 

 

ある子(ここではK君として
おきましょう)が
トイレットペーパーを体に
グルグルに巻き付けて
赤いペンキを塗りまくり、
ほとんど話をしないその子が一言
「事故にあった人」と
説明してくれました。

 

 

全身グルグル巻きにされた包帯、
いやトイレットペーパー
まだ乾ききっていない滴る血、
いやペンキ

 

 

今そこで事故にあったように、
いやに生々しく、
私はゾクゾクと全身が緊張するのを
感じました。

 

この子は大丈夫?ととても不安になりました。

 

K君にはあまり刺激を
与えないしないようにしよう。
それがK君を守ることだからなんて
思いながら、
実は私がK君のことを
怖がっていたのかもしれません。
(周りの人たちもきっと
 そう感じていたでしょう。)

 

 

でもそんな周囲の思いとは関係なく、
K君はその後もユニークな作品を
作り続けました。

 

 

華道の時間には花を根本からちょん切り
それを逆さに生ける。
それ花は苦しくないか?

 

 

書道の時間には訳の分からない字を
延々延々と書き続ける。
どこかから何かが降りてきて
取り憑かれていないか?

 

 

そのうち私はK君が何を作るのか、
どうやって作るのか、楽しみになって
彼が活動している場に度々
顔を出すようになりました。
相変わらず、何か話してくれる
わけではないけど、
時に照れたような笑顔を
見せてくれるようになりました。

 

 

そのうち友達ができて、
隅の方で話し込んでいたり、
一緒に遊びに出かけたり
するようになりました。

 

 

最初は人から自分を閉ざし、
人を不安にさせるようなK君は、
いつの間にかちょっとユニークで
マニアックな世界を持ちながら
友達と関わり遊ぶ男の子に
なっていったのです。

 

 

K君の変化を目の前にして、
普通ってなんだろう、
当たり前って何だろうと
改めて考えることになりました。

 

 

K君の表現を普通じゃない、
病的だと見るのか、
怖いけど変わっているけど、
そういうのもありで面白いと見るのか。
普通じゃないと存在を排除するのか、
変わっていることも含めて存在を受けいれるのか。

 

 

そんな周囲の見方、受け止め方で、
子供たちは大きく変わるということを
教えてもらったように思います。

 

 

 

さあ、あなたはどのような目で
子供たちを見ようと思いますか?
また人をどのような目で見ようと思いますか?

 

 

それは相手のためではありません。
それは自分自身が楽しみながら、
人生を過ごしやすくするための
方法なんです。
だって嫌な人、怖い人に囲まれているより、
ちょっと変わっていても面白い人、
魅力的な人に囲まれた人生の方が
素敵じゃないですか?

 

 

最後に残念な話なのですが、K君、
人と楽しんで関われるようになるに従って、
作品がだんだんと普通になってしまったのです。
やはり芸術は苦悩や特殊な環境で
研ぎ澄まされていくものなのでしょうか?

 

 

でもK君が今も楽しく過ごしてくれると
いいなと思っています。
どうしているのかな・・・

 

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