ソリューション・フォーカスト・アプローチとは

「心理カウンセリング」と聞いて、どんなイメージを描きますか?
カウンセラーと1対1で向き合い、抱えている悩みを訴え、時には様々な心理療法を使いながら原因を探し、その原因を改善することで、悩みを解決しようとする、というのが一般的なイメージではないでしょうか。

Solaでは、全く違う方法で、悩み解決にアプローチします。
原因探しはしません。
驚くほど短期間で、まっすぐに解決へと向かいます。

そんな理想的な心理療法が「ソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向アプローチ)」なのです。

では、“解決志向”とは、何でしょう?
従来のカウンセリングとは、3つのポイントが異なります。その違いを分かりやすく、比較しながら解説します。

ポイント 従来のカウンセリング ソリューション・フォーカスト・アプローチ
①視点
問題・原因
解決した姿・現在持っている力
②期間
長期
短期
③雰囲気
暗い・重い
明るい・軽やか

①過去の原因を探さず、今ある力で解決へ

従来のカウンセリングは“問題志向”

前述のとおり、一般的な心理カウンセリングは、過去の「問題・原因」を出発点に解決へと向かう、そんなイメージです。「問題志向」のカウンセリングだと言えます。

ソリューション・フォーカスト・アプローチは“解決志向”

一方、ソリューション・フォーカスト・アプローチは、未来の「解決」と現在の「力」から、相談者の方を見つめます。
相談者の方が望む「解決した姿」に向かうため、「ご自身が現在持っている力」を丁寧に引き出しながら、カウンセラーと相談者が一緒に具体的な方法を見つけていきます 。
だから、
ソリューション=解決
フォーカスト =焦点づけられた
アプローチ  =近づくための方法
なのですね。

「変化は常に起こっている。その中から有用なものを見つけて増幅することが大事である」という、有名な文化人類学者であるグレゴリー・ベイトソンの言葉があります。
この言葉にあるように、どうしようもない苦しみの中にあっても、人はいつも変化しており、そして苦しい状況を生き抜いている、色々な力を持っているのです。

ただ、問題や苦しみが大きな時には、それらに圧倒されてしまって、本来持っている自分の力が見えなくなってしまうものなのです。

だからこそ、Solaでは、その辛さや苦しみに寄り添いながら、相談者の方が持つ力を一緒に探し、それらを積み重ねながら解決を作り上げていきます。

抽象的な話ですので、簡単な具体例を出しますと、「毎日気分が優れず、鬱々と過ごしている」という方がいるとします。

この方の「解決」は「1日を良い気分で過ごすこと」。
そのために、1週間の生活を記録してもらい、少しでも「良い気分で過ごす」ことができた日に着目します。
カウンセラーは「その日は何かいつもと違うことがありましたか?」と問いかけます。
そこで「友人と会ったかな」「疲れていたので早く寝た」「仕事に行く途中好きな音楽を聴いていた」など、少し違った行動があれば、それを続けてみるようにするのです。
変化の中から、うまくいった「力」を見つけて、解決につなげる、というのは、このような積み重ねをしていくのです。

②平均3~10回。無駄な時間をかけずに解決へ

「カウンセリングって、どのくらい時間がかかるのかな?」
「何回くらい行けば良いのだろう?」
と考え、相談するのを躊躇してしまうことがあるかもしれません。
時間やお金がどのくらいかかるのかも、カウンセリングを受ける際に大きな問題ですよね。

ソリューション・フォーカスト・アプローチは、比較的短期に効果が感じられます。
アメリカの調査では4回以下の面接で80%の人が終結しているという結果が出ています。
ただこれは必ずしも回数が少ない方が良いということではありません。必要以上の回数はやらないということです。
Solaでは、平均3~10回で終結しています。

相談者の方が望む変化を作ることだけに焦点を絞り、問題や原因を探るためだけには時間を使いません。
相談者の方が既に持っている「解決につながる力」を引き出し、望む姿に近づく具体的な方法を一緒に考えるために、必要以上の時間は使わない、効率の良いカウンセリングと言えるでしょう。

「さざ波効果」って、聞いたことがありますか?
池に小石を放り込むと波紋がどんどん大きくなっていきますよね。
同じように小さな良い変化が起これば、それは次の良い変化につながり、やがてそれは大きな変化へとつながっていきます。
自分の中にある力や解決の種に気づけると、自信や肯定感が生まれ、意欲が湧いてきます。
それがまた次の変化を起こす力となっていくわけです。

相談者の方にとって必要な回数を重ね、共に解決に向かって歩きます。

Water drop

③あなたの気づいていない光を一緒に探します

従来のカウンセリングは問題や原因を追究する過程で、辛く重い気持ちになることがあります。
ところが、ソリューション・フォーカスト・アプローチでは、相談者の方の肯定的な面についての話が多くなるので、明るく楽しい雰囲気で解決に向かうことができます。
とは言え、本当に迷い苦しんでいるときには、とても明るい気持ちなれるものではありませんよね。
そんな時でも相談者の方の中にある小さな希望の光を丁寧に探していくことができます。
それが、ソリューション・フォーカスト・アプローチなのです。

  

 

ソリューション・フォーカスト・アプローチの歴史

ここからは、ソリューション・フォーカスト・アプローチの学術的な背景をご説明します。
画期的な心理療法が誕生した、歴史的背景を紐解いていきましょう。

ソリューション・フォーカスト・アプローチは、ブリーフセラピー(短期療法)と言われる一手法で、コミュニケーション論やシステム論を使ったセラピーの流れを汲んでいます。

治療機関BFTCの設立

1978年、ソリューション・フォーカスト・アプローチの創始者であるアメリカの心理療法家インスー・キム・バーグとスティーブ・ディ・シェイザーが中心となり、アメリカミルウォーキーにBFTC(Brief Family Therapy Center)という治療、研究、トレーニングのための機関を設立しました。

BFTCでは経験豊かなセラピストの他に、彼らの実践に興味を持った研究者、学生、ケースワーカー、医師、学者等、様々な人々が入れ替わり立ち替わり集まりました。

彼らはそこで一緒に面接を観察し、相談者が良い変化を起こすために何が有益なのかを議論し、それを実践し、また議論をするといったことを繰り返します。
その中から、このSFAという新たな心理療法が生まれていったのです。

SFAの誕生

SFAの誕生は1982年だと言われています。
その年、27もの問題を羅列する家族が面接に訪れました。しかしその問題のうちどれ一つも明確に説明されたものがなかったので、介入案を作ることができませんでした。そこで生活の肯定的な面に目を向けてもらおうと「生活の中でまた起こったらいいと思えることに注目するように」と伝えました。

2週間後の次の面接はどうなったと思いますか?
なんと驚いたことに、家族はとてもうまくいっており問題は解決したと報告したのです。
27もの問題を抱えていた家族が、どうして2週間という短期間でうまくいくようになったのでしょう?

その理由を考え、行きついた結論は「問題と解決は必ずしも関係しない」「問題より解決に焦点を当てる方が有効である」ということでした。
これが「問題ではなく、解決に焦点を当てる」というSFAの出発点となったのです。