「ある」ものに目を向ける
こんにちは、梶原しげこです。
あなたは「石のスープ」というお話を
ご存知でしょうか?
ある村のお話です。
ある時旅人が一軒の家を訪ねて、
「何か食べ物をいただけませんか」
と言いました。
家の主は
「この家にも、この村にも何もないのです」
と答えました。
すると旅人は
「心配はいりません。
私はスープの石を持っています。
これを熱湯の中に入れさえすれば、
世界一おいしいスープができます」
とにっこり笑いました。
家の主は大鍋に湯を沸かしながら、
隣の人にこの話を耳打ちしました。
お湯が煮える頃には、
村中の人が集まってきたのです。
旅人はお湯に石を入れ、
お湯をスプーンですくい
「なかなかうまい。
後ジャガイモが入れば上出来だ」
と言いました。
するとある人が
「ジャガイモなら家にあります」
とすぐさま家から持ってきました。
旅人はジャガイモを放り込み
また一口味見をしました。
「おお、うまい!ここに肉が入れば
素敵なスープになるのだが」
と言いました。
すると、別の人が肉を持って戻ってきました。
それを煮込みまた味見をしました。
・・・
最後に「塩とソースがいりますね」と
旅人が言うと「ここにあります」と
家の主が言いました。
旅人はみんなに言いました。
「みなさん、お椀を持ってきてください」
みんなはわいわい言いながらお椀を持ち、
中にはパンや果物を持ってきた人もいました。
そしてみんなで信じられないくらい
おいしいスープと持ち寄ったごちそうを食べ、
おしゃべりしながら
誰もが幸せな気持ちになりました。
この話を聞いてどのように感じましたか?
あるなら最初から出してくれればいいのにと
思ったかもしれませんね。
(私は最初そう思いました。)
私のオフィスには様々な悩みを
抱えた方が来られます。
仕事のこと、家族のこと、自分自身のこと。
またカウンセリングに来ていなくても、
生活していれば誰しもが困ること、
行き詰ることを経験しているでしょう。
そのことを思った時に、
この話が次のように思えてきました。
悩みや困難の中にいる時には、
できない、人がしてくれない、
どうしてよいかわからないと
「ない」ことばかりを強く感じてしまいます。
しかしこの先に驚くような、
楽しいような、
希望の持てるようなことがあるかもしれないと
一旦思うと物事は
動き始めるのではないかということです。
「スープの石?世界一おいしいスープ?」
そこからお話は始まります。
同じように悩みや困難の先に、
何があればいいのか、
何がどうなればいいのかを
想像してみてください。
例えば、
気持ちが安らぐようになる、
夫婦で笑い合うようになる、
仕事に打ち込めるようになる、
そうなれば本当にいいですね。
そうなればいいなと感じたら、
それは向かう方向が
見えてきたということです。
向かう方向が見えたら、
今の自分を振り返り、
周りを見渡してみてください。
すると今度は「ある」ものが見えてきます。
自分の中にある、
良くなりたいという気持ち、
考える力、想像する力、
そして行動する力もあるでしょう。
また気にかけてくれる友人、
支えになってくれる家族、
同じような悩みを抱えて
少し先を歩く人もいるかもしれません。
こうやって「ある」ものをかき集め、
それに目を向け、今できることを考え、
それをやりながら、
自分の鍋に入れていきましょう。
すると気がつけば
想像していたおいしいスープ
いや、いいなと感じる状態に
近づいていることでしょう。
ネットで調べると
「石のスープ」のレシピもありました。
疲れた夜には温かい「石のスープ」を
作りながら、
何がどうなればいいのかなと
想像してみてください。
そしてどのような想像を
したのかを教えてくださいね。