#3 AIは親切すぎる——SFAカウンセラーを作って一番苦労したこと

 

こんにちは、梶原しげこです。

 

AIはとても優しいのです。ねぎらい、寄り添い、肯定してくれる。

それは間違いありません。

でも作っていくうちに、何度も「これじゃない」と感じる瞬間がありました。

 


たとえばこんな場面です。

利用者が「職場でミスが多くて上司に怒られる」と打ち明けたとします。

AIはねぎらいながらこう返します。

「ミスを減らすための対策とか、何か小さな一歩を考えられそうですか?」

あるいは「友達と喧嘩した」という言葉に、

「仲直りできたらいいですね」

一見、優しくて良さそうに見えます。でもここに違和感を感じるのです。

 

「職場でミスが多い」と言った人は、

もしかしたらミスを減らすことより転職の相談がしたいのかもしれない。

「友達と喧嘩した」と言った人は、仲直りではなく、

友達に非を認めさせる方法を知りたいのかもしれない。

AIは利用者が何を望んでいるかを先回りして判断し、決めつけて話を進めていくのです。

 


SFAで大切にしていることがあります。

 

利用者の思考のベースに合わせて、利用者自身が思考を深め、

自分の人生を切り開くヒントを見つけること。利用者が望むこととは何か。

それが実現するとどんな違いが生活に現れるのか。

それが具体的になることで、今ある自分の力やリソースに気づき、

新たな一歩を自ら見出すことにつながると考えています。

 

だから「次にできる小さな一歩」を提案するのも早いと感じる。

「例えば週に一回だけ、仕事以外でほっとできる時間を意識的に作る、とか、

そういう小さな選択を試してみるのはどうでしょう?」

AIが先に先に先導している。そんな印象を何度も受けました。

 


これを何とかしようと、AIにお願いする内容を何度も書き直しました。

 

気になるところを細かく指示するとうまく反映されない。

削ると今度は足りない。

どれが最新版か、どれが良かったかもわからなくなりました。

その繰り返しでした。

 

リスク管理の点でも同じ苦労がありました。

AIの限界を明確に示しながら、なるべく利用者に寄り添う。

そのバランスを取ることも、簡単ではありませんでした。

試行錯誤の末、今はこんな内容にしています。

 


望むことの「具体化」ができるまで、次の話題へ進まないでください。

非指示的態度の徹底:あなたから解決策やアドバイス、具体的な行動例を安易に提示しないでください。

問いかけの優先:ユーザーが自分で答えを見つけられるよう、

「何が」「どのように」というふうに問いかけ、ユーザーの思考を促してください。

沈黙と受容:ユーザーの言葉を丁寧に繰り返し、深掘りすることで、

ユーザー自身の言葉を引き出すことに専念してください。


これでだいぶ改善されました。

でも正直に言えば、まだ完璧ではありません。

AIはそれでも時々、親切に先導しようとします。

 

「待つ」ことを教えるのは、人間相手でも難しい。

それをAIに教えようとして、

改めてSFAの核心がどれだけ繊細なものかを思い知らされました。

 


では実際に完成したStepsとはどんなものか。AIとカウンセラーのハイブリッドという形に行き着いた理由とは。次回に続きます。

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